喜満満猫の癒される暮らし

難病とともに、今できることに感謝してパワフルに生きる己書家【喜満満猫】のブログ

【城崎の花火《10》】己書さえも描けなくなってきた

こんにちは。

喜満満猫です。

いつも訪れていただき、本当にありがとうございます。

【城崎の花火⑨】から続きます。

 

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 己書の師範になる修行

わたしたち3人は、己書の師範試験を受けることを決めました。

師範の先生は、

『師範を目指すのであれば、みんなと同じようにではなく、厳しくそれなりにいきますよ。』

とおっしゃって、表情を引き締めました。

お題も、今までは好きなものを書いてきました。

ですがこれからは、師範になるべき技術力を持つようにと、段階を踏んでいきます。

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絵の具を使ったり、薄墨で水墨画のような絵を描いたりしました。

己書のキャラクターは6体のお地蔵さまですので、何パターンかのお地蔵さまを描いたりしました。

笑顔あふれるお顔、口のとんがったお顔、への字口のお顔など、表情あふれるお姿は、眉毛の角度ひとつで表現できます。

龍や、観音さま。

食べ物では、お寿司や、ラーメン。

般若心経。

魚へんの漢字シリーズ。

七福神の神さまたち

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字と絵を組み合わせた、素晴らしい作品にどんどん挑戦できました。

出来上がった作品は、お題が同じでも人それぞれ個性があって、とても素敵でした。

本当に楽しく、充実した幸座が続きました。

手術しないでこのまま……

このころになっても、まだ手術を受ける決心がついていませんでした。

しかし次回の診察までには、決めなきゃいけない。

でも、中学3年生で受験生の次男のことを考えると、どうしても踏み切れません。

入院して手術になれば、最低1か月は帰ることができず、その後数ヶ月は、思うように身体が動かなくなるのです。

今のまま、気をつけて暮らせばなんとかなるんじゃないかと、手術しない選択肢のほうを考えてばかりいました。

どんどん苦しく描けなくなっていった

己書の幸座は、基本的に90分の授業になります。

1作品、1幸座で仕上げることができますし、ハガキのサイズのお題でしたら3〜4枚仕上げることができます。

ですが、そのころのわたしに、異変が起こってきました。

首を下げて、1時間半も描くことが本当につらくなってきたのです。

どう姿勢を良くしても、描くためには前かがみにならなくてはなりません。

ただでさえ、手に力が入らず、筆ペンを持つのも集中して、がんばって動かさなくてはならない。

苦しくなって、目を閉じて上を向いていることが多くなりました。

それを見た師範は、

『喜満満猫さん、どうしたの〜?』

と不思議顔。

『神さまを描かせていただくので、精神統一してます(笑)』

とごまかしたりしていました。

『集中が続かない〜、あかん、年やろか(笑)』

とか冗談を言ったりして、周りを笑わせたりしていました。

ぶち子はさすが親友で、小さな声で『大丈夫?』と気遣ってくれて、本当に涙が出そうになりました。

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わたしは、いつまで、己書を描いていられるんだろう……。

このまま、ろうそくの灯火が消えていくように、少しずつ身体が動かなくなるのかもしれない。

不安ばかりがこころを埋めつくしていくのでした。

【城崎の花火《11》】に続きます。

 

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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