こんにちは。
喜満満猫です。
いつも訪れていただき、本当にありがとうございます。
【城崎の花火《22》】から続きます。
父と母の思い出づくり
父と母は、この城崎温泉に来るのは2度目です。
一歩一歩、死に近づいていて、この旅行も来られるかどうかわからない状態でしたから、感激もひとしおだったと思います。
サービスエリアでも、出石でも、玄武洞ミュージアムでも、夫婦2人でいる写真を何枚も撮ってあげました。
写真は、その時その時を切り取ってくれます。
そして、ずっと思い出として残ります。
母は、うれしそうに腕を組んだりしていました。
城崎に来られた奇跡
西村屋本館にチェックインして、お部屋に通されたあと、母は、ほうっと息をついて、
『ここまで来られたね…もう無理かと思った。』
とつぶやきました。
『そうだね。別に観光しても、しなくてもいいから、のんびりゆっくりしてね。』
とわたし。
ふと窓の外の中庭を見つめました。
ああ、やっと城崎に来たんだな…。
ほんとうに、来ることができただけで感謝です。
父の容態も落ち着いてきていましたし、息子たちのクラブや、学校の日程もうまく調整できました。
すんなり来られた奇跡に、心からうれしく思う喜満満猫でした。
父と息子たち、温泉へ
主人は長いドライブの疲れから、少し仮眠を取り始めました。
少し休憩して、父は、『夕食までの時間に、風呂に入りたいなあ』と言いました。
自宅でしたら、安全上、父と母と2人で入るのですが、男湯、女湯と別れているので、一瞬、どうしよう…という空気が流れました。
足元がおぼつかないので、転んだりしたら大変です。
すると、息子たち2人が、
『おじいちゃん、ぼくらと入ろう!行こ行こ!』
と、わたしに目で合図をして連れていってくれました。
『ほほう、お前たち、一緒に入るか。』
と嬉しそう。
3人で、にぎやかに部屋を出発していきました。
西村屋本館の癒される温泉
(西村屋HPより)
西村屋本館の旅館内の温泉は、こじんまりしてはいますが、とてもきれいです。
城崎温泉は外湯めぐりが有名ですので、みんな浴衣を着て出て行ってしまうからでしょう。
ですが、わたしは外湯にも行きますが、人がいなくて貸切みたいで、湯もきれいなので、旅館の温泉に入ることが多いです。
父の涙
ゆっくり戻ってきた息子たちと父。
ふと見ると、父は涙ぐんでいました。
2人が手を引いて、洗い場まで連れて行き、2人で背中を流し、体じゅうを洗ってくれたそうです。
『こんなええ経験はないわ。おれ、うれしかった。
シャンプーしてくれて、頭から、背中から足まで、全部洗ってくれた。
こけたらあかんでってな。手、引いてくれて。
優しく洗ってくれてな。
孫と入る風呂は最高やった。』
最後の方は、声がかすれていました。
母は、『よかったねぇ、よかったねぇ。』と、一緒に泣いていました。
同居しているので、寝食を共にしていても、お風呂まで一緒に入るということは、ほとんどありません。
とてもいい機会だったと思います。
そして、ひとに頼まれなくても、そんなふうに思いやれる子に育ってくれてたんだと、嬉しくなりました。
育っていた『思いやり』
弱ってこそ、人の温かみが感じられるようになります。
してもらって当たり前ではない。
してくれてありがとうございますと、自然に感謝が生まれます。
身近に病気を持った人がいることで、思いやりが育つのですね。
わたしが重いものを持てないことで、息子たちは自分から考えて、動けるようになってくれました。
自分では気づくことができず、ひとに言われてから、嫌々やらされる場合は、反発しがちです。
『自分から気づき、動くこと』を教えることは難しいです。
そう考えると、病気になるのもマイナスの面ばかりではありませんね(笑)
【城崎の花火《24》】に続きます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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