こんにちは。
喜満満猫です。
いつも訪れていただき、本当にありがとうございます。
【城崎の花火《34》】から続きます。
手術の成功
『喜満満猫さ〜ん、終わったよ〜?うまくいったからね〜。』
という主治医の先生の声で、ぼやけた視界から、しだいにはっきりとした視界に変わっていきました。
と、同時に。
空気に押しつけられているかのような苦しい重みと、
にぶくて熱い、首の痛みを感じました。
ぴくりとも動けない。
こみ上げる気持ち悪さ。
ストレッチャーに乗せられて、病室に運ばれると、手早く数名の看護師さんのかけ声で、ベッドに移されました。
のぞき込む主人の顔。
心配そうに、耳元で
『大丈夫やでな。無事に終わったよ。』
と、にかっと笑いました。
『…ほんと?』
と、やっと出たかすれた声。
『大丈夫、大丈夫。』
主人の顔を見て安心したのか、また意識が遠のいて眠りに落ちました。
恐ろしい状況
このとき、まったく自分の置かれた状況がわかっていなかったのですが。
頭には金属の輪がはめられ、
こめかみに左右、棒が刺さっていて。
そこから両方の肩に向かって、横に出た棒が肩の筋肉に直角に刺してあり、
まったく首が動かないようになっていたようです。
首の手術した縫合部分からは、血抜きのドレーンが。
動けないように、サイボーグ状態になっていたようです。
手術用の寝巻きをレンタルして着ていたのですが、
頭にはめられた金具の加減なのか、着替えがうまくいかないので、
そのまま、半分はだけた状態でバスタオルをかけられていました。
そのころ家族は自宅待機
主人のはからいで、父や母、息子たちには、
『今日は自分がついているから、明日以降来てもらうようにお願いします。』
というかたちにしてもらってありました。
さすがというか、状況判断がありがたかった。
手術直後の病室に、家族とはいえ、
多くの人がいてもらえる状況じゃないことがわかっていたのですね。
来てもらっていても、ほんとうに話せる状態じゃなかったのです。
エンドレス嘔吐との闘い
うとうとと麻酔が覚めきらぬまま、
少し覚めて目を開けると、こみ上げてくる。
主人は枕元で、ずっとティッシュを持ってスタンバイしてくれていました。
少しも、寝ていられなかったと思います。
少しだけの嘔吐のときは、ティッシュで口をぬぐってくれ、
多く嘔吐したときは、看護師さんを呼んで、吸引してもらう。
真上を向いたまま、まったく首を動かせない状態での、
連続した嘔吐は、地獄でした。
観音さまの救いの手
かわるがわる差し出された手が、
わたしを、優しく、手厚く、少しずつ楽にしてくれる。
『じぶんを助けてくれる手は、みんな観音さま』
という瀬戸内寂聴さんの言葉が、頭のなかに浮かんできて。
心のなかで手をあわせていました。
少しでも、この気持ち悪さが和らぎますように。
リハビリの先生から教えていただいた呼吸法。
少し気持ち悪さが和らぐ気がしました。
苦しくて、つらくて、涙を流しながら、
主人にも看護師さんにも、
周りの助けてくださる手、すべてに感謝して、
ひたすらに朝を願いました。
【城崎の花火《36》】に続きます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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