こんにちは。
喜満満猫です。
いつも訪れていただき、本当にありがとうございます。
【城崎の花火⑧】から続きます。
10数年ぶりのご縁が再燃
先日開かれた高校の同窓会で、久しぶりに会った4人の仲間。
話が盛り上がって、ほぼ徹夜の近況報告会をしました。
そのとき、ふとした話の流れで己書を始めたことを話したわたし。
1人の友だちが、ずっとそんな何かをやりたかった、ぜひやってみたいと目を輝かせました。
彼女に頼まれて、己書の体験に連れて行くことになりました。
彼女の名前を輪ちゃん(仮名)とします。
わたしにとって癒される大事な人
わたしを最初に己書に連れていってくれた親友は、ぶち子といいます。
小さい頃から、ずっと仲良くしてもらっています。
親同士が仲が良く、ものごころついた頃には、もうすでにいつも一緒にいました。
わたしにとって、いてくれるだけで癒される大事な人です。
わたしのターニングポイント、人生の大切な岐路には、必ず彼女のお力があります。
この己書の体験に行こうと連れていってくれたのも、またぶち子でした。
いつも暗闇から引っ張り上げてくれるのです。
今回の輪ちゃんを連れていくときも、一緒に車に乗せていってくれました。
偶然にも、輪ちゃんとぶち子は、小さいころ同じ学校にいて、顔なじみだったのでした。
3人での己書幸座
輪ちゃんを師範に紹介して、和気あいあいと始まった己書幸座。
ぶち子とわたしは、何度も幸座を重ねているので、絵と字を組み合わせたお題を書き始めました。
輪ちゃんは最初、興味津々な様子で、わたしたちや、周りの生徒さんのさまざまなお題を眺めていました。
初回は、恒例の筆の腹で書くぐるぐるや、あいうえおのお題などです。
『うわぁ〜失敗した〜!』などと、にぎやかに叫びつつ、本当に楽しそうに進めていました。
わたしたちは微笑ましく楽しく笑いながら、輪ちゃんの初回の己書幸座は終わったのでした。
輪ちゃんの熱意
輪ちゃんは、この日、本当に今まで求め続けたものを見つけたのです。
まさか、ここまで喜んでもらえるとはまったく思っていませんでした。
帰りの車の中、輪ちゃんは興奮した様子で、
『これをやりたかったの!絵手紙とか、書道とか、やってみたけどなんか違うと思ってた。すごくうれしい。わたし、続けるわ!』
と喜んでいました。
輪ちゃんの『学びたい熱』はすごいもので、わたしたち2人は圧倒されていました。
『次、いつ行く?』
これからは、3人で己書に参加することになりました。
今までのぶち子とわたしは、のんびりゆっくりと、月に1回の幸座を受けていたのですが、それがそうはいかなくなりました。
実は、わたしたちが教えていただいている師範は、場所と曜日が違う幸座を何コマか持ってみえました。
輪ちゃんは、師範に他の幸座はどこで何時にやっているのか、一覧表が欲しいとお願いしていました。
師範は、輪ちゃんの熱意に驚きながらも、嬉しそうな様子で、チラシで説明していらっしゃいました。
振り返った輪ちゃんは
『次、いつ行く?』と、にんまり。
……来週行くことになりました(笑)
月に1回から月に4回へ
輪ちゃんの熱意は冷めることがなく、どんどんお題をこなしていきました。
わたしたちも一緒に行く流れになっていて、あれよあれよという間に回数を重ねていきました。
師範が『3人とも、すごいね。このあとどうする?師範目指してみる?』と、提案されました。
師範!あまりにも想像してなかった流れでした。
ぶち子とわたしは、顔を見合わせました。
己書の師範になるという激流
いやいやいや、そこまでは…と答えようとしたら、輪ちゃん、すかさず
『やりたいです。昼間、時間が空いてるので、地域のお年寄りとかの憩いの場所になれたら。』
と即答しました。
たしかに、ここまで来たら、上を目指していいのかもしれない。
少し考えていると、ぶち子が話し始めました。
ぶち子の叔父さんは、書道の先生になりたかったのですが、年若くしてご病気で亡くなられたそうです。
『わたし、叔父さんの遺志を継いで、やってみようかな……。』
【わたしの生きた証】
まだ難病の手術をするかどうか、決めていないわたし。
このころには、わたしにとっての己書は、【自分の生きた証として残すもの】という気持ちになっていました。
この震える手、力のない指から、生まれてくる作品が、まるで自分の分身のように思えました。
このまま自分がどうなるか。
先が見えない苦しみのなか、できることは、わたしのこころを残すこと。
教えるための師範ではなく、【自分であるための証】として、師範を目指す決心をしたのです。
こうして、己書の師範になるという激流に、3人はのまれていくことになります。
嵐のような日々の幕開けでした。
【城崎の花火⑩】に続きます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。