こんにちは。
喜満満猫です。
いつも訪れていただき、本当にありがとうございます。
【城崎の花火《66》】から続きます。
満身創痍
地べたに座りこんで、椅子に突っ伏したまま、
どうにもならない自分の体に、
行き場のない怒りと情けなさが、
あふれてきました。
大事なこのときに、思い通りにならないことが、わたしの試練なんですか!?
もう少しなのに、あきらめろということですか!?
両手で、こぶしをぎゅっと握りしめ、
残った力を、ふりしぼろうとしました。
ぐぐぐ……と歯を食いしばり、うなる音が、
輪ちゃんや同じテーブルの人に聞こえたのか、
『喜満満猫、…がんばって!』
『がんばってください…!』
と、小さな声で励ましてくれました。
わたしも小さな声で、
『もう少し…もう少しだけ…。』
と唱えながら、
椅子に作品を下ろして、覆いかぶさりながら、
さながら鬼の表情で、修羅のごとく、
ちょぼちょぼと描き続けました。
涙が勝手に流れてきていました。
最後の力を、もう動かなくなっている手に、
込め続けました。
やがて、感謝のとき
どれだけの時間が流れたのでしょうか。
『はい、終了です。筆を置いてください。』
という声がかかりました。
ほう…っと息を吐いて、全身の力が抜けました。
もう、ぬけがらのようになりながら、
作品を持って、ゆらりと立ち上がりました。
提出するまでが、試験のうちです。
ふらふらと提出して、自分の席に戻ると、
ぶわっと涙があふれてきました。
顔の前に両手を合わせて、
『…できた…できたよ。
ありがとうございました…!』
誰にというわけではありません。
わたしを助けてくれている周りのすべてに、
心のなかでお礼を言いました。
ほんとうに、ここまで来させていただいて、
ありがとうございました。
わたしの力のすべて
試験後、総師範をはじめとする審査員の先生方から、総評がありました。
全体的に、素晴らしい出来だそうです。
正式には、合格通知は5日後、
郵送で送られてきます。
もう、これ以上もこれ以下もなくて、
今のわたしには、これがすべてでした。
そして、面接
夕方遅くからは、集団面接が行われました。
上席師範が中心になって、
己書との出会いや想いを語り合うことで、
受験者の人柄を判断します。
輪ちゃんが、にっこりと堂々と、
『己書との出会いは、喜満満猫のおかげです。』
と言ってくれました。
そして、同期のもうひとりの子は、
『己書を描くのにスランプになって、
自信がなくなり、辞めようかどうか悩みました。
そのとき、喜満満猫ちゃんにかけてもらった、
言葉で救われました。』
と、言ってくれました。
『えっ!?』と初めて聞く話に驚いていると、
そのときのエピソードを試験官の先生に、
詳しく話してくれました。
何気ない、たわいない言葉でした。
それがそのときの彼女の気持ちを、
ふわっと軽くしたのだそうです。
周りに迷惑ばかりかけているわたしでも、
ひとの役に立っていたことがあったんだ…と、
あらためてうれしく思えた日でした。
【城崎の花火《68》】に続きます。
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